WISCの結果を持っている 方法⑯ 

PRIだけ低い

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〇「PRIだけ低い」メカニズムと発達心理、学習理論による対策

【前回までのおさらい】

方法①~⑪までは、WISC-Ⅳ検査の概論、FSIQや各指標がどのような“知能”を推定しているのか、さらには、指標同士の関係性を解説してきました。ここからは、事例(架空)をもとに、WISC-Ⅳ検査結果から推測される“知能”の特徴が、日常の困り事といかに繋がっているのか検討し、具体的な対策・心がけ等を提示していきます。

<参考>
方法① 全検査IQ(FSIQ)が弱点
方法② 言語理解指標(VCI)が弱点
方法③ 知覚推理指標(PRI)が弱点
方法④ ワーキングメモリー指標(WMI)が弱点
方法⑤ 処理速度指標(PSI)が弱点
方法⑥ VCI>PRIまたはVCI<PRIの差が大きい
方法⑦ VCI>WMI またはVCI<WMI の差が大きい
方法⑧ VCI>PSIまたはVCI<PSIの差が大きい
方法⑨ PRI>WMIまたはPRI<WMIの差が大きい
方法⑩ PRI>PSIまたはPRI<PSIの差が大きい
方法⑪ WMI>PSIまたはWMI<PSIの差が大きい

 

 

〇こんな傾向はありませんか?
(こういうところが見られたらあてはまるかもしれません) 

【事例Rさんの場合】

Rさんは、まもなく受験を控えている高校3年生です。普段通りに受験もこなせたら、志望の大学に進学できそうなのですが、今から不安で仕方がないようです。というのも、どうしてもテスト本番などと、いつもと少し違う予定やイベントがあるだけで、思うように力を発揮できなくなってしまうようなのです。そのためか、だんだんと自信も低下しているようでした。

 

〇WISC-Ⅳ検査を受けたところ・・・


WISC-Ⅳ結果 Rさんのプロフィール

全検査IQ(FSIQ)は「平均」を示しています。4指標も、言語理解(VCI)・ワーキングメモリー(WMI)、処理速度(PSI)は、概ね「平均」域にあたりますが、知覚推理(PRI)はこれらを下回り、「平均の下」に位置しています。

よって、このプロフィールから、周囲の同級生と比較した場合、概ね周囲に引けを取らない知的能力を有しているが、知覚推理(PRI)のみ不得手であると推測できます。

加えて、“個人の中での能力差”に注目すると、言語理解(VCI)・ワーキングメモリー(WMI)・処理速度(PSI)>知覚推理(PRI)間で、比較的大きな差があるため、いわゆる“生活のしづらさ”を感じやすいと指摘できるでしょう。

 

・知覚推理(PRI)<言語理解(VCI)の差

言語的な情報処理(≒VCI)は平均程度にこなせるものの、非言語的な情報処理(≒PRI)には躓きやすくあるでしょう。これを日常に置き換えると、普段通りにおしゃべりしている分には、何ら問題はないが、初対面の相手や不慣れな環境では、困惑しやすいと考えられます。臨機応変な対応を必要とする際、いくらか突飛な行動を取ってしまう、いわゆる“空気を読む”ことに苦手さがある、との表現もできるかもしれません。

 

・知覚推理(PRI)<ワーキングメモリー(WMI)の差

聴覚的な情報処理の過程(≒WMI)に比べ、視覚的な情報処理の過程(≒PRI)を不得手に感じるでしょう。この差によって、記憶の内容に“ムラ”が生じやすいと考えられます。具体的には、人の名前と顔がなかなか一致しづらかったり、ある程度通いなれた場所であっても、地図で表現されると認識しづらかったりするかもしれません。

 

・知覚推理(PRI)<処理速度(PSI)の差

同じ視覚的情報であっても、一定のやり方でゴールが見通しやすい課題(≒PSI)は、それほど問題なく達成できても、自身でより良いやり方を考え出さなければならない課題(≒PRI)は、戸惑いやすくあるでしょう。決まった手順通りに処理できることに適応があり、その手順を自身で見つける・作り出すことには、苦戦を強いられるかもしれません。

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〇 生徒の対策

  • ①見本の真似をしてみよう!

    そもそも勉強の仕方がわからない…と悩んでいる方、少なくないように思います。そういった方は、迷わず誰か・何かの真似をすることをお勧めします。例えば、黒板に書かれたことは、そっくりそのままノートに書き写す。先生が線を引いたら、同じく線を引き、赤や黄色で書いたら、同じ色を使ってみましょう。勉強が得意な友だちのノートを借りて、書き方を真似てみるのもひとつの方法かもしれません。

    心理学には、“モデリング”という言葉があります。これは、憧れの対象に少しでも近づくため、その対象の仕草やファッションを真似ることを指す言葉ですが、学習にも応用できると言われています。何事も理想に近づくためには、真似ることからはじめてみましょう。

  • ②一気にゴールを目指すのではなく、スモールステップを意識しよう!

    例えば、「数学のテストでいい点数を取りたい!」という目標があったとします。この目標まで、ひとっ飛びできたら…なんて想像してしまいますが、何事にも手順・段階が必要です。「ここまでの問題ができたら、第1段階クリア!」などと、小さなステップを設け、確実に1段ずつ階段を上っていくイメージです。“急がば回れ”、この方が案外近道だったりするものです。

  • ③焦ったときは、ひとまず深呼吸しよう!

    新しい環境、初めて会う人、これまでに解いたことのない問題など、不慣れな場面では、なかなか本来の力を発揮しづらくなってしまいます。そういったとき、どうしても気持ちばかりが焦ってしまったり、必要以上にプレッシャーを感じてしまったりするものです。

    何事もパッとすぐさま反応せずに、まずはゆっくり深呼吸をし、焦りやすい気持ちをなだめてあげることが大切です。ちなみに、深呼吸のやり方は、3秒吸って3秒吐く、できればこれを3セット繰り返してみましょう。


〇 講師のサポート

  • ①なるべく実物を提示するように!

    “見る力”を補う上では、実際に触れて体験することが有効であるように考えます。立体の展開図を学ぶ場面が最もイメージしやすいかと思います。展開図のみを平面上で提示するより、立体に実際触れながら、その原理を理解してもらうほうが、一般的にもわかりやすくなるでしょう。想像力を実像で補ってあげる作業といえるかもしれません。

    また、生徒の対策①で示した、“真似る力”を養う上でも、実物に触れる体験は非常に有効であると考えます。

  • ②あらかじめスモールステップを用意しておく必要も!

    上述の通り、相対的にPRIが低い場合、自らより良いやり方を見つける、アイディアを出すといったことが難しくあります。そのため、学習計画も生徒自身に任せてしまうのではなく、講師側はある程度導き、管理してあげても良いように思います。

  • ③点と点を繋いであげるような声かけを!

    PRIの苦手さは、応用することの苦手さと言えます。一度経験したことが、次の経験につながりづらいところに生活のしづらさがあるともいえるでしょう。今向き合っている問題が、以前に経験した問題に似ていることに気づいてもらえるよう、「これは〇〇に似てるね」、「どこかで××な問題解いたね」などといった声かけが望ましいように思います。


〇 役に立ちそうなリソース

  • 学習計画(スモールステップ)を本人・講師間で明確に共有できるツールを用意しても良いかもしれません。スケジュールを確認しつつ、達成感も共有・共感できるとより良いでしょう。

  • 教材を使用するとき、図式や表などを与えっぱなしにしないで、
    ふきだしで説明を入れてあげます。
  • 「ヒットマンガ」
    かるたをベースにしたカードゲームです。読み札には文字がなく、マンガのひとコマと空白の吹き出しだけ描かれています。この吹き出しにぴったりはまりそうなセリフを考えて読み上げ、他の人はどのカードかを当てます。楽しみながら、自然と想像力が鍛えられそうですね。

  • プラネタリウム

    大きなスクリーンを見て夜空に包まれながら、あの星がこう動いている、その時こちらにはこの星座が出ている、と大きな空間の中で位置関係などを楽しむのは、空間の把握の気持ちの良い訓練になるかもしれません。

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  • <動画>【WISC知能検査】知覚推理指標(PRI)が弱点の場合の最新対策法を解説

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  • <動画>【WISC知能検査】結晶性知能(VCI)と流動性知能(PRI)の差が大きい場合の最新対策法を解説

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  • <動画>【WISC知能検査】PRI(知覚推理指標)とPSI(処理速度指標)に差がある場合の改善方法

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  • <動画>【WISC知能検査】知覚推理指標(PRI)とワーキングメモリ指標(WMI)の差が大きい場合の最新対策法を解説

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  • <動画>【WISC知能検査】ウィスクでWMIとPSIが高くVCIとPRIが低い場合の改善方法

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  • <動画>【WISC知能検査】VCIとWMIが高くPRIとPSIが低い場合の改善方法

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  • <動画>【WISCのPRIの知見】理科のモデルや図の問題が苦手な場合の対策法を解説

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  • <動画>WISCのPRI(知覚推理指標)を活かした過去問解説【明大明治算数大問1(4)-1】

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  • 薄井晶著 『方法別冊』(不登校・学習障害・発達障害・WISC ver.)ファストブック(2022)

〇学習障害がある方が学べる個別指導の専門塾

WISCの結果を生かして特性を考慮しながら受験指導

SMKの完全個別ゼミ

調布ゼミ
完全個別 調布ゼミ
〒182-0026 東京都調布市小島町1丁目4−6 三田調布シティハウス 107
TEL:042-426-7295
京王線調布駅から徒歩1分。
甲州街道の小島町交差点すぐそば。
塾の前に自転車がとめられます。

 

世田谷ゼミ
完全個別 世田谷ゼミ
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷3丁目2−2 メルシー世田谷 103
TEL: 03-6804-4076
東急世田谷線世田谷駅、下高井戸方面下車、歩いてすぐ。
通りを渡って美容院のある角を曲がってください。看板が見えます。
*駐輪場完備
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〇 生徒・ご父兄の声

まちがえたら、ていねいに教えてもらえる そんな塾でした

M.S. さん
合格校: 宮崎日本大学中学校、女子美術大学付属中学校、白梅学園清修中学校

先生の授業は、とても分かりやすくて、
まちがえたら、ていねいに教えてもらえる
そんな塾でした。中学受験が終わった今でも、
先生の教えてくれた事は、役に立っています。ある時、
学校の漢字の宿題プリントで、四字熟語を書くという問題が出ました。
「創意工夫」とかの少し、難しめのやつなのですが、
先生達が色々な言葉を教えてくれたおかげで、
その日の漢字の宿題は、満点でした。
先生が教えてくれたおかげで、学校のテストでは、ほとんどの教科が
満点で、志望校にも合格できました!本当にありがとうございました!!

 


子供に合った塾

M.S. さんご父兄
A.S. 様
合格校: 宮崎日本大学中学校、女子美術大学付属中学校、白梅学園清修中学校

春には5年になる、2月の時期に入会しました。
子供の特性上、集団塾より個別対面の塾が向いていると思い
調布ゼミを見つけ、入会しました。
1対1の授業は先生とのコミュニケーションがとりやすく、
送迎の際には授業のフィードバックもしていただき、家庭学習に活かすことができました。
また、こちらの要望や相談にも対応していただき、安心することができました。
受験期には第一志望校の過去問対策を徹底して指導していただき、
お陰様で、ずっと憧れていた学校に合格することができました。

今も調布ゼミの前を通るたび、大変だったはずの受験勉強をとても楽しそうに話す様子を
見て、子供に合った塾に通わせることができたと実感しています。

この2年間、子供に寄り添い、優しく楽しくご指導いただき、感謝の気持ちでいっぱい
です。本当にいろいろとありがとうございました。

 


心理学の面からメンタルサポートをして頂きました。

東京都世田谷区 Y.M.さん 
明治薬科大学薬学部 合格

私の大学合格のためにご尽力いただきありがとうございました。
私は、高校2年生まで多くの他塾を経験しましたが、
どこも合わず、塾選びに困っていたところ貴塾に出会う
ことができました。貴塾は、私の望んでいた環境と条件がそろっており、
受験を終えるまで安心して通い続けることができました。
毎回の小テストや分かりやすい解説により勉強がはかどっただけでなく、
心理学の面からメンタルサポートをして頂いたことも、とても支えになりました。
約1年間ありがとうございました。


<監修>
臨床心理士・公認心理師 堤 梨乃
SMK 薄井晶