WISCの結果を持っている 方法⑮

PSIだけ高い
 

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【前回までのおさらい】

方法①~⑪までは、WISC-Ⅳ検査の概論、FSIQや各指標がどのような“知能”を推定しているのか、さらには、指標同士の関係性を解説してきました。ここからは、事例(架空)をもとに、WISC-Ⅳ検査結果から推測される“知能”の特徴が、日常の困り事といかに繋がっているのか検討し、具体的な対策・心がけ等を提示していきます。

<参考>
方法① 全検査IQ(FSIQ)が弱点
方法② 言語理解指標(VCI)が弱点
方法③ 知覚推理指標(PRI)が弱点
方法④ ワーキングメモリー指標(WMI)が弱点
方法⑤ 処理速度指標(PSI)が弱点
方法⑥ VCI>PRIまたはVCI<PRIの差が大きい
方法⑦ VCI>WMI またはVCI<WMI の差が大きい
方法⑧ VCI>PSIまたはVCI<PSIの差が大きい
方法⑨ PRI>WMIまたはPRI<WMIの差が大きい
方法⑩ PRI>PSIまたはPRI<PSIの差が大きい
方法⑪ WMI>PSIまたはWMI<PSIの差が大きい

 

〇 こんな傾向はありませんか?
(こういうところが見られたらあてはまるかもしれません)

【事例Oさんの場合】

明るくハキハキと、物怖じしない性格のOさんは、今年初めて学校行事のリーダーを任されることになりました。クラスでどんな出し物を行うか、まずはアイディアを出そうと話し合ったのですが、Oさんはいい案が思いつかず、結局は副リーダーの案が採用されることに決まりました。少し落ち込んでしまったOさんですが、これまでのことを振り返ると、ある程度やり方が決まっているものは、素早く実行に移せるものの、1からアイディアを出すことはいくらか苦手なのかもしれない、との気づきがあったようです。

【WISC-Ⅳ検査結果】


WISC-Ⅳ結果 Oさんのプロフィール

〇「PSIだけ高い」メカニズムと発達心理、学習理論による対策

【事例解説】

全検査IQ(FSIQ)は「平均」を示しています。4指標も、言語理解(VCI)・知覚推理(PRI)・ワーキングメモリー(WMI)は、概ね「平均」域にあたりますが、処理速度(PSI)はこれらを上回り、「平均の上」に位置しています。

つまり、このプロフィールから、周囲の同級生と比較した場合、Oさんは処理速度(PSI)に長けており、その他の力も概ね引けを取らない程度に有していることが推測できます。

ただし、ここで注目すべきは、“個人の中での能力差”です。すべての指標が、同年代の平均以上を示していたとしても、個人内での指標間差が大きくなっている場合、いわゆる“生活のしづらさ”を感じやすいと考えられています。

したがって、Oさんの例では、処理速度(PSI)>言語理解(VCI)・知覚推理(PRI)・ワーキングメモリー(WMI)の間で、比較的大きな差があるために、すでに決まったルールやペースがある課題は素早く処理できる一方、1からアイディアを出したり、応用・工夫を凝らしたりすることは苦手に感じやすいと考えられます。

 

・処理速度(PSI)>言語理解(VCI)の差

注意・集中の切り替え力(≒PSI)に長けている反面、ひとつのことをじっくり深く考え続けることは、いくらか苦手に感じるかもしれません。つまり、相対的に内省する力(≒VCI)に弱さがあるため、その場しのぎの判断・行動をとってしまいやすい可能性もあるでしょう。

 

・処理速度(PSI)>知覚推理(PRI)の差

同じ視覚的情報であっても、一定のやり方でゴールが見通しやすい課題(≒PSI)は、十分に達成できても、自身でより良いやり方を考え出さなければならない課題(≒PRI)には、躓きやすくあるでしょう。

 

・処理速度(PSI)>ワーキングメモリー(WMI)の差

素早い判断で、実行する力(≒PSI)があるものの、ある程度“型通り”でなければ身動きが取りづらくあるかもしれません。その背景には、当人の内側で、逆算的に計画を立てたり、必要な準備をしたりする力(≒WMI)が弱くあることが考えられます。

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〇 生徒の対策

  • ①学習のスケジュールは、あらかじめ目に見える形で準備しておこう!

  • 基本的に学校内では、1時間目、2時間目…と、タイムスケジュールが明確に定められていますね。おそらく、この“時間割”のように、次に何をすべきかが具体的に、目に見える形で示されているほうが、身動きを取りやすくなるように思います。学校から帰ったあとの自室での過ごし方、あるいは休みの日の過ごし方を、一度書き出してみても良いかもしれません。 

  • ②自分なりのスケジュールを、“ルーティン”化してみよう!

  • ①で決めたタイムスケジュールは、できる限り繰り返し実践してみましょう。だんだんとご自身にフィットしたやり方が洗練され、いつの間にか当たり前の習慣になれば、“勉強する”こと自体が苦ではなくなるかもしれません。(ちなみに、勉強に向かうことをルーティン化するコツとして、すでにある当たり前の習慣の間に取り込んでみると良いかもしれません。例えば、「ご飯を食べたあとに歯を磨く」こと、この間、つまりは、「ご飯を食べたあとは、いったん机に座って、テキストを開いてみる、その後で歯を磨く」などといった具合です。) 

  • ③あともう1回だけ見直す習慣づけを!

  • PSIが相対的に高い場合、思考は次へ次へと進もうとし、これまでを振り返って考え直そうといった試みはいくらか少ないかもしれません。そのため、何かしらの作業を終わらせることは早くとも、抜け漏れが生じやすかったりもするでしょう。これを防ぐためには、あともう1度だけで構いませんので、見直し・確認することを意識しましょう。 


〇 講師のサポート

  • ①学習のスケジュールは、目に見える形での共有を!

  • 次に何をすべきか、先の見通しをわかりやすい形で共有しておくことがより良いでしょう。このとき、生徒の対策①に示した通り、生徒自身が書き出したスケジュールを尊重しつつも、ある程度講師側で枠組みを決めてあげたほうが取り組みやすくなるかもしれません。

  • ②基本的には、同じルール・ペースで!

  • 相対的にPSIが高くある場合、“ルーティン”にこそ適応があると考えられます。決まった一定のルール・ペースに従い、手順通りにやりこなせることで、生徒の安心感や自信にもつながるように思います。

  • ③作業の“量”のみを評価するのではなく、作業の“質”の重要性も!

  • もしかすると「宿題などは、とにかく早く終わらせれば良い」と考え、スピードのみを重視してしまう生徒も少なからずいるように思います。作業の“量”で成果を測ること自体は否定しないものの、一般社会では、同時に作業の“質”も担保しなければならないことを、諭していく必要もあるのかもしれません。


〇 役に立ちそうなリソース

  • PSIの高さをより活かすために、興味関心を持ったことは、ためらわず挑戦してみて良いように思います。ほんのちょっとの失敗を気に掛け、尻込みしてしまうよりも、思い切りの良さを活かし、チャレンジしてみましょう。“実行する”力こそ、あなたの強みとなるはずです。

  • 漢字を何度も書いたり、英単語を何回も書いたりするのが苦でなければ、書くことで「手に覚えてもらう」と良いでしょう。「こう書いたな」と手が運動神経と連動するように覚えていることがあります。

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  • <動画>【WISC知能検査】PSI(処理速度指標)だけ高い場合の改善方法

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  • <動画> 【WISC知能検査】VCIとPSIに差がある場合の改善方法

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  • <動画> 【WISC知能検査】PRI(知覚推理指標)とPSI(処理速度指標)に差がある場合の改善方法

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  • <動画> 【WISC知能検査】WMI(ワーキングメモリ指標)とPSI(処理速度指標)に
    差がある場合の改善方法

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  • <動画>【WISC知能検査】ウィスクでWMIとPSIが高くVCIとPRIが低い場合の改善方法

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  • <動画>【WISC知能検査】VCIとWMIが高くPRIとPSIが低い場合の改善方法

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  • <動画>【WISC知能検査】ウィスクでPRIとWMIが高くVCIとPSIが低い場合の改善方法

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  • 薄井晶著 『方法別冊』(不登校・学習障害・発達障害・WISC ver.)ファストブック(2022)

  • 〇学習障害がある方が学べる個別指導の専門塾

    WISCの結果を生かして特性を考慮しながら受験指導

    SMKの完全個別ゼミ

    調布ゼミ
    完全個別 調布ゼミ
    〒182-0026 東京都調布市小島町1丁目4−6 三田調布シティハウス 107
    TEL:042-426-7295
    京王線調布駅から徒歩1分。
    甲州街道の小島町交差点すぐそば。
    塾の前に自転車がとめられます。

     

    世田谷ゼミ
    完全個別 世田谷ゼミ
    〒154-0017 東京都世田谷区世田谷3丁目2−2 メルシー世田谷 103
    TEL: 03-6804-4076
    東急世田谷線世田谷駅、下高井戸方面下車、歩いてすぐ。
    通りを渡って美容院のある角を曲がってください。看板が見えます。
    *駐輪場完備
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    〇 生徒・ご父兄の声

    まちがえたら、ていねいに教えてもらえる そんな塾でした

    M.S. さん
    合格校: 宮崎日本大学中学校、女子美術大学付属中学校、白梅学園清修中学校

    先生の授業は、とても分かりやすくて、
    まちがえたら、ていねいに教えてもらえる
    そんな塾でした。中学受験が終わった今でも、
    先生の教えてくれた事は、役に立っています。ある時、
    学校の漢字の宿題プリントで、四字熟語を書くという問題が出ました。
    「創意工夫」とかの少し、難しめのやつなのですが、
    先生達が色々な言葉を教えてくれたおかげで、
    その日の漢字の宿題は、満点でした。
    先生が教えてくれたおかげで、学校のテストでは、ほとんどの教科が
    満点で、志望校にも合格できました!本当にありがとうございました!!

     


    子供に合った塾

    M.S. さんご父兄
    A.S. 様
    合格校: 宮崎日本大学中学校、女子美術大学付属中学校、白梅学園清修中学校

    春には5年になる、2月の時期に入会しました。
    子供の特性上、集団塾より個別対面の塾が向いていると思い
    調布ゼミを見つけ、入会しました。
    1対1の授業は先生とのコミュニケーションがとりやすく、
    送迎の際には授業のフィードバックもしていただき、
    家庭学習に活かすことができました。
    また、こちらの要望や相談にも対応していただき、安心することができました。
    受験期には第一志望校の過去問対策を徹底して指導していただき、
    お陰様で、ずっと憧れていた学校に合格することができました。
    今も調布ゼミの前を通るたび、大変だったはずの受験勉強をとても楽しそうに話す様子を見て、子供に合った塾に通わせることができたと実感しています。
    この2年間、子供に寄り添い、優しく楽しくご指導いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にいろいろとありがとうございました。


    英語を毛嫌いしていたのが嘘のようです。

    東京都調布市 K.T.君 ご父兄
    合格校:国士館高校合格

    息子は体調不良で中学校での授業を受けることができませんでした。
    それでも高校は通信制ではなく毎日登校する学校へ行きたいという
    本人の希望がありました。
    何とか本人の希望を叶えられるようにしたいと、調布ゼミの見学に
    訪れたのが高校入試の一年前。丁寧に対応してくださった薄井先生
    ありがとうございました。
    一番心配していたのが英語でしたが奥井先生のご指導のもと、希望の学校から
    合格を頂くことができました。こちらの塾に通うまでは英語を毛嫌いしていた息子ですがそれが嘘のように「高校で英語を頑張りたい。」と言っています。私が「高校は塾どうする?」と聞いたときも迷わず「続ける。」と言っていました。英語を好きになる指導をしていただいたこと、本当に感謝しております。
    そしてこれからもどうぞ宜しくお願いいたします。


    <監修>
    臨床心理士・公認心理師 堤 梨乃
    SMK 薄井晶