WISCの結果を持っている 方法⑬

PRIだけ高い

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【前回までのおさらい】

方法①~⑪までは、WISC-Ⅳ検査の概論、FSIQや各指標がどのような“知能”を推定しているのか、さらには、指標同士の関係性を解説してきました。ここからは、事例(架空)をもとに、WISC-Ⅳ検査結果から推測される“知能”の特徴が、日常の困り事といかに繋がっているのか検討し、具体的な対策・心がけ等を提示していきます。

<参考>
方法① 全検査IQ(FSIQ)が弱点
方法② 言語理解指標(VCI)が弱点
方法③ 知覚推理指標(PRI)が弱点
方法④ ワーキングメモリー指標(WMI)が弱点
方法⑤ 処理速度指標(PSI)が弱点
方法⑥ VCI>PRIまたはVCI<PRIの差が大きい
方法⑦ VCI>WMI またはVCI<WMI の差が大きい
方法⑧ VCI>PSIまたはVCI<PSIの差が大きい
方法⑨ PRI>WMIまたはPRI<WMIの差が大きい
方法⑩ PRI>PSIまたはPRI<PSIの差が大きい
方法⑪ WMI>PSIまたはWMI<PSIの差が大きい

 

〇 こんな傾向はありませんか?
(こういうところが見られたらあてはまるかもしれません)

【事例Nさんの場合】

生活態度は決して悪くないのですが、成績にはムラがみられます。Nさんの担任によると、真剣な様子で授業には取り組んではいる、というのですが…。このあたり、Nさん本人に詳しく聞いてみたところ、実は授業中、取り留めのない空想に浸っていたり、教科書の隅の落書きに夢中になってしまったりする、とのことでした。どうやら自宅でも、自身の趣味(漫画を読むこと、絵を描くこと)に没頭してしまうようで、気がつくと時間だけが過ぎていて、夜寝ずに宿題をやる羽目になることも少なくないようです。

〇 WISC検査を受けたところ・・・


WISC-Ⅳ結果Nさんのプロフィール

全検査IQ(FSIQ)は「平均」を示しています。4指標も、言語理解(VCI)・ワーキングメモリー(WMI)・処理速度(PSI)は、概ね「平均」域にあたりますが、知覚推理(PRI)はこれらを上回り、「平均の上」に位置しています。

つまり、このプロフィールから、周囲の同級生と比較した場合、Nさんは知覚推理(PRI)に長けており、その他の力も概ね引けを取らない程度に有していることが推測できます。

ただし、ここで注目すべきは、“個人の中での能力差”です。すべての指標が、同年代の平均以上を示していたとしても、個人内での指標間差が大きくなっている場合、いわゆる“生活のしづらさ”を感じやすいと考えられています。

したがって、Nさんの例では、知覚推理(PRI)>言語理解(VCI)・ワーキングメモリー(WMI)・処理速度(PSI)の間で、比較的大きな差があるために、目の前のやるべきこと以上に、自身の興味関心を優先させてしまったり、場当たり的な行動をとってしまったりすると考えられます。

・知覚推理(PRI)>言語理解(VCI)の差

対人コミュニケーションにおいて、相手の微妙な表情変化やその場の空気感など、非言語的な情報(≒PRI)は敏感にキャッチできるでしょう。一方で、キャッチした情報をもとに、言語的に内省すること、あるいは適切な言語を使って、自身の考えや気持ちを表現すること(≒VCI)には不得手さを感じやすいかもしれません。

・知覚推理(PRI)>ワーキングメモリー(WMI)の差

いわゆる記憶力には、ムラが生じやすいでしょう。方法⑨で、PRIとWMIの関係性を解説していますが、前者を「視覚的な情報処理の過程」とすると、後者は「聴覚的な情報処理の過程」と捉えることができます。つまり、目で見た情報を覚え処理することは得意とするが、耳で聞いた情報を覚え処理することは難しくあるといえます。より具体的には、人の顔はよく覚えているが、名前はなかなか覚えられない、などといえるでしょう。

・知覚推理(PRI)>処理速度(PSI)の差

アイディア力(≒PRI)には長けているが、それを実行し続ける力(≒PSI)が弱くあるでしょう。“好奇心旺盛”であることは長所として評価できますが、言い換えると、興味関心が移ろいやすくあると指摘もできます。このため、目の前のことだけに焦点を当て、一定のペースで課題に取り組み続けるといった点で躓きやすくあるでしょう。

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〇 生徒の対策

    ①“わからない”は、最大限にアピールしよう!

    私たちは、相手が何かで困っていたとしても、案外気がつけないものです。あなたが今、“わからない”と困っていることも、「わからない」と伝えない限り、汲み取ることはなかなか難しいのです。(今回の事例Nさんの場合も、担任の先生は、Nさんの困りごとに気がついていないようでしたね。。。)だからこそ、“わからない”ことは察してもらおうと待つよりも、「わからない」と言葉で目一杯アピールしましょう。

    ②耳で聞いたことは、できるだけ目でも見て確認できるように!

    授業中、先生は大事なことを黒板に書き留めず、さらっと言うこともありますね。ノートは板書通り、きれいにまとめたいものですが、聞き漏らしを防ぐためには、体裁を整えるよりも、とにかくメモしておくことです。聴覚情報だけを頼らずに、得意である視覚情報を活かしてみましょう。

    ③目の前のことだけに集中しやすい環境づくりを!

    おそらくご自身の興味関心が赴くままに、思考・行動してしまいやすいところがあるでしょう。パッとひらめいたり、新しいアイディアを思いついたりと、直感力の高さは長所ですが、目の前のことのみに集中しなければならない場面も少なくありません。具体的な対策として、あらかじめ集中する時間を区切り決めておく取り組むべき課題以外のモノや情報はその間は遠ざける、などが有効でしょう。


〇 講師のサポート

    ①「わからない」が言いやすい雰囲気づくりを

    “わからない”ことを「わからない」と伝えるには、多少なりとも勇気が必要でしょう。普段から、積極的に言語コミュニケーションをはかり、話しやすい雰囲気づくりを心掛けていただければと思います

    ②メモを取る習慣づけを!

    聴覚的な情報の漏れを防ぐためには、視覚的な情報を併用することが、最も有効です。耳で聞いて理解しているように見えても、実はその場限りのポーズかもしれません。学習の最後に、ノートにまとめる時間を必ず設けるなど、“書くこと”を習慣づけてあげるとより良いでしょう。

    ③目の前のことだけに集中できるよう、
    あらかじめ時間を区切り設定してあげましょう!

    学習のタイムスケジュールを一緒に作成し、あらかじめ集中すべき時間を決めておくのが望ましいでしょう。同時に、好きなことをする時間も十分に確保し、メリハリ・ON/OFFの切り替えということを体感できるとより良いように思います。


〇 役に立ちそうなリソース

  • 自己表現を続けてみよう!
    PRIの高さをより活かすために、ご自身の興味関心がある分野において、“表現すること”は決して諦めず、強みとして持ち続けていただきたいものです。事例Nさんのように、絵を描くことが“得意”で、“好き”ならば、どうしたらもっと上手に描けるだろうかと、自然と探求・追求したくなるものでしょう。
    表現方法は、絵画に限りません。何かのモノ作り、グラフィックデザイン、ダンスなど身体を動かすことも、“表現すること”のひとつです。“得意”であることは、“継続する力”もきっと支えてくれるはずです。

  •  

  • <動画>ウィスクの結果でPRI(知覚推理指標)だけ高い場合の改善方法

  •  

  • <動画>結晶性知能(VCI)と流動性知能(PRI)の差が大きい場合の最新対策法を解説

  •  

  • <動画>知覚推理指標(PRI)と処理速度指標(PSI)
    の差が大きい場合の最新対策法を解説

  •  

  • <動画>【WISC知能検査】知覚推理指標(PRI)とワーキングメモリ指標(WMI)の差が大きい場合の最新対策法を解説

  •  

  • <動画>【WISC知能検査】知覚推理指標(PRI)だけが低い場合の最新対策法を解説

  •  

  • <動画>WISCのPRI(知覚推理指標)を活かした過去問解説【明大明治算数大問1(4)-1】

  •  

  • <動画>WISCのVCI(言語理解指標)とPRI(知覚推理指標)を活かした過去問解説【明大明治算数 売買損益】

  •  

  • <動画>【発達障害 勉強】ADHDで勉強の反復練習が苦手な場合の対策法

  •  

  • 薄井晶著 『方法別冊』(不登校・学習障害・発達障害・WISC ver.)ファストブック(2022)

 

〇学習障害がある方が学べる個別指導の専門塾

WISCの結果を生かして特性を考慮しながら受験指導

SMKの完全個別ゼミ

調布ゼミ
完全個別 調布ゼミ
〒182-0026 東京都調布市小島町1丁目4−6 三田調布シティハウス 107
TEL:042-426-7295
京王線調布駅から徒歩1分。
甲州街道の小島町交差点すぐそば。
塾の前に自転車がとめられます。

 

世田谷ゼミ
完全個別 世田谷ゼミ
〒154-0017 東京都世田谷区世田谷3丁目2−2 メルシー世田谷 103
TEL: 03-6804-4076
東急世田谷線世田谷駅、下高井戸方面下車、歩いてすぐ。
通りを渡って美容院のある角を曲がってください。看板が見えます。
*駐輪場完備
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〇 生徒・ご父兄の声

わかりやすかったと話したことは初めてでした。

薄井先生 詳しくありがとうございます。
薄井先生から教えていただいたことが、本人スッと入ったようで、 英語の文法のことも嬉しそうに話していました。
正直、1年生から塾に通っていてこんなにスッキリした顔でわかりやすかったと話したことは初めてでした。
8月金曜日に薄井先生に教えていただけるのを本人楽しみにしている様です。
○○の所属する女子バスケは〇中の部活の中でも1番をあらそうほどの練習日が多く、
夏休みもお盆以外はほぼ毎日の様で、宿題をするのも大変です。
勉強面を考えるとなかなか厳しい部活です。
塾の自習もできるようになって欲しいですし、
部活が落ちつく頃には受験対策の授業など、
考えたいと思います!!!
ありがとうございました。

 

子供に合った塾

M.S.さんご父兄 A.S様

合格校:女子美術大学付属中学校、宮崎日本大学中学校、白梅学園清修中学校

春には5年になる、2月の時期に入会しました。
子供の特性上、集団塾より個別対面の塾が向いていると思い、 調布ゼミを見つけ、入会しました。
1対1の授業は先生とのコミュニケーションがとりやすく、
送迎の際には授業のフィードバックもしていただき、家庭学習に活かすことができました。
また、こちらの要望や相談にも対応していただき、安心することができました。
受験期には第一志望校の過去問対策を徹底して指導していただき、 お陰様で、ずっと憧れていた学校に合格することができました。

今も調布ゼミの前を通るたび、大変だったはずの受験勉強をとても楽しそうに話す様子を見て、子供に合った塾に通わせることができたと実感しています。
この2年間、子供に寄り添い、優しく楽しくご指導いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にいろいろとありがとうございました。

 

目標と学力のギャップがなかなか埋まらない
苦しい時期には、息子に寄り添ってくださいました

J.O.くんご父兄 N.O.様 合格校:桜美林高校

小学校4年生から高校入試まで 6年間 大変お世話になりました。
特に中3の夏期講習では丸1ヶ月
先生にご指導頂いたことに強く感謝しております。
目標と学力のギャップがなかなか埋まらない苦しい時期には、
息子に寄り添って下さり大変助けて頂きました。
全力で臨んだ入試は息子にとって
貴重な経験で大きく成長をしたと思っております。
ありがとうございました。

 

<監修>
臨床心理士・公認心理師 堤 梨乃
SMK 薄井晶